16日、ひたちなか市長選挙が行われ現市長が4選を果たしました。
選挙結果に対する茨城新聞朝刊(17日付)の解説が、地域鉄道のあり方とシンクロするような気がして印象に残りました。
「財政規律を重視しながら進められた本間市政は、県内では例を見ないほどの実績を上げたはずなのに、一部市民の目には『守り』『消極的』と映ったのかもしれない。」
「土地区画整理のような基盤整備に取り組むことは将来的な市勢発展に欠かせないが市民には地味な事業と受け取られがちだ。」
以前、えちぜん鉄道の見奈美社長に経営改善が進む秘訣をお聞きしたとき「目立つようなことはやっていない。お客様の意見を聞き、みんなでがんばっていけば結果が出る。あなたもよくメディアでお顔を見るが、トップがあまり目立つのもいかがなものか。」というアドバイスをいただいたことが思い出されます。
たしかに、えちぜん鉄道には湊線のような旧型車両があるわけではなく、大都市圏にあるわけでもありません。それなのに「列車を待つ人が寒そうなら、増収効果など考える前にストーブを設置する」「サポーターと話し合って鉄道と沿線のお店の相互割引を行う」「駅員やアテンダントが自ら勉強してバスの乗り継ぎなどお客様が本当に必要とする情報やサービスを提供する」といった、どれが決め手というわけでもないお客様本位の考え方が実績につながっています。
熊本電鉄もしかり。お客様のニーズを考えて増発、終電の繰り下げ、バスとの連携などの施策によりお客様が増加し黒字基調を保っています。
こうして地味に着実に実績を上げている2社の企業実績は特筆すべきものですが、メディアへの露出度や知名度では、幸か不幸かひたちなか海浜鉄道がはるかに上。一般の皆さんに「どちらががんばっていますか」とアンケートを取ると、おそらく当社に軍配があがるでしょう。
そのひたちなか海浜鉄道も通勤通学対策や沿線観光地とのタイアップなど、確実だけれど目立たない施策で開業以来最高の実績を上げている反面、グッズ開発や派手なイベントなどに手が回らず、鉄道ファンの間では案外地味に思われているようです。
地域鉄道の収支改善は「目立たず地味化すること」につながるようです。収支均衡が実現しそうな2年後には、空気や水のように、だれもひたちなか海浜鉄道のことを口に出さなくなったりするのかも。
いや、それではいけません。湊線はひたちなか市の広告塔の役目も果たすのですから。
着実に、そしてしっかりアピールを。
ひたちなか市はそれを受け入れてくれる土壌があるようです。
今回の選挙結果を見ながら、しばらく湊線と地域鉄道の未来について妄想してみました。